11.10


ペダルが軽い・・・

地面がゆっくり離れていく・・・

自転車のカゴの中には、シワだらけの茶色いあいつ・・・

人差し指が光り、僕も人差し指を合わせる・・・





こんなファンタジーは、小5でも受け入れられない。

そもそも、僕の黄色いマウンテンバイクに、カゴは付いていない。




カゴなしの黄色いマウンテンバイクで真っ暗な田舎道をひた走る。

街頭も少なく、車は全く通らない。

その間にも、一度空が光る。

あたり一面が明るくなる・・・


問題なく、山のふもとに着いた・・・

そこには寺があり、寺の裏にある階段を登れば頂上に公園がある。

そこまで登れば、山の向こう側が見えたはず・・・


マウンテンバイクを降り、住職に気づかれないように、隠れながら寺の裏に回る。

そこには公園まで続く木製の階段。

それほど高い山ではない。

階段も多くはない。

階段を登り始めると、また空が光る。

登り始めて、少しすると、また光る。

中腹にさしかかった頃には、数十秒に一回は光るようになっている。

登れば登る程、光る間隔が狭くなっている・・・

急に怖くなってきた・・・

何とか、一歩づつ進む。

頂上に近づくにつれて、さらに光る間隔が狭くなる。

10秒に一回、5秒に一回、3秒に一回・・・

様子がおかしい・・・

尋常ではない・・・

頂上付近になると、連続して光り始める・・・



そして僕は、頂上の公園に辿り着いた・・・


第二部 〜終〜